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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

つまみを作る その2

2005.7.27 
 
 

ポットのノブを作るには、基本的な機械加工を知らなければできないかも。単純に一つだけを作る事とは違い、同じものを量産しなければならず、作業工程をしっかり把握しなければなりません。

 
ABS丸棒を正確に直径8mmに加工。これはコレット(加工物を銜えるスリットが入った筒のこと)に合わせた寸法です。キャド図面を基に、部品を上下に分けそれぞれを加工します。これら二つの部品は段差を付けた填め込み式とし、どの部品も同じように組み合わせができるよう正確に切削しなければなりません。そのため、まずはカッターの設計からスタートです。
 
カッターはS45C(ヨンゴーシー)と呼ばれる鉄材から作ることにします。焼き入れが施されています。金属を加工するにはもう少し硬度がある、ドリルロッドかSKS3と呼ばれている特殊工具鋼を使用しますが、切削対象はABS樹脂。S45Cで充分でしょう。これを使い数字が書き込まれる台座を削ります。台座はポットが取り付けられるナットを避けた構造でなければなりません。
 
写真左にあるのが自作したカッターです。開穴とナットの退け部分を一発で切削できます。右側にあるドリルの刃は、開けられる穴の底が平らになる特殊ドリルで径は2mm。セレーションが施されるツマミ部分に使います。正確に3mmの深さが保てるようストッパーを自作しました。
 

 

セレーションとよばれるギザギザの加工に入ります。90°の溝加工用カッターで削っていきますが、溝の深さは0.17mm。これは削る対象が正確に回転しなければ綺麗に溝が掘れません。そこで購入したての新兵器の登場です。

このダイヤルゲージは1/100精度で凸凹を測定してくれる優れものです。加工物に先端を押し当て、実際にロータリーテーブルを廻しながらセンター精度をチェックします。ロータリーテーブルは8°傾斜していて、理屈では正確にセンターが出ていなければならない訳ですが、そんなに甘くない。ゲージの針が止まるまで調整します。

 

綺麗にセレーションが入りました。7.2°で回転、全部で50本の溝ができています。通常この手の加工はローレットと呼ばれる加工治具で行います。よくツマミ部分に使われているのでは、他にアヤメと呼ばれるクロス模様(テレキャスターのノブ)もありますが、これらは直角に接する加工では有効ですが、このような斜め加工には効きません。

 
ノブへのレタリングは、エナメル系の模型用ラッカーを使います。エナメルは乾きが遅くこのような細かい作業に向いています。円板スケールはキャドで分割してあり角度は32.72°。両面テープで貼り付けました。細かな文字は神経を使います。トップの文字は上下をセロテープでマスキング。周辺の数字は角度に合わせ一発書きです。
 
取りあえず、完成。^^;;ビンテージ風な色調はいいのですが、レタリングがイマイチ。本来は彫り文字でなければいけなのですが、こんな斜めへの加工はプロの職人ですらいやがります。レタリングは得意としてた自分ですが、あまりに小さく思うようにはいきません。修行が足りないのかな。^^;;
 
 

つまみを作る

2005.6.30 
 
 

ポットのつまみ^^;;。ギザギザのセレーションは7.2°角、全部で50本。素材はアクリル製です。台座とつまみ部分は別々に作り、はめ込み式で接着。これを当初はキャスト製法で考えていましたが、小さい故に細かなセレーションまで再現するには、相当に大掛かりな装置が必要になるのが想像できます。理想的には真空装置を設置し、気泡の混入を防ぎ熱プレスするのが望ましいでしょう。こんな装置、とても無理です。^^;;いい方法が見つかるまで、しばらくはひとつひとつをこうして手作りしなければならない訳です。

 
 

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