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Guitar Top Home

工房便りダヨ〜ン^^;;
 

チョ〜ツガイをつくる

2005.10.18 
 
 

リビングにある大きな食器棚。それに付いている扉の蝶番(ちょうつがい)が壊れてしまった。上下に2個あるが、違うところで壊れている。それぞれ生き残った部分だけを組み合わせば一つは確保できるが、一台は丸ごと作らなければならなくなった。写真から見られるように極めて特殊な形をしており、同じものを探し求めるよりも作ってしまった方が早いのでしだ。アタシはね^^;;とにかく、ギターには関係ない話しなので悪しからず。

 

実は、この蝶番を作るのは今回で2回目になる。前回は2001年の夏頃、同じようにBブロックの真ん中にあるネジ穴でポッキリと折れてしまった。しかし、今回はAの円ブロックまでも作らなければならない。
構造的には至ってシンプルなのだが、部材が平均5mm厚となり、加工が大変である。アルミが嫌いなアタシは^^;;迷わず真鍮をチョイスし、早速寸法を測ることにした。

いつものように「お直しノート」に書き込んだので、ご覧頂ける。このノート。実は1/3ギターを作り始めた頃からのもので、思いついたアイディアなどこまめに書き込んでいる日記のような

 

もの。今は1/3専用にノートは分けてる。料理のレシピのようだが、当時は何を考えていたのか…発想と共に技術的な面も含め自分の成長が読みとれ、不思議な世界にも入り込める。^^;;

では、その全貌をご紹介します。

 

まずは、Bブロックの切り出し。使用材は5mm厚の真鍮板。大まかにカットしたブロックを、ミリングマシンで正確に直角を出しながら図面寸法に削り出す。それほど正確さを要求しないため、フリーハンドで描いたノート図面で充分だが、これをカギ型に組み合わすことから、切断面の直角だけはしっかりと付けていかなければならない。これらを2mmのネジでつなぎ合わせ、ロー付けを行い仕上げていく。

 
次はAブロックの成形。5mmの真鍮板を切りだし、更に2mmのプレートを張り合わせる。これにセンターを出し、6mmのボルトで軸受けに固定。旋盤で成型していく。昔だったらどうやって作っていただろうと考えてしまう。自作のハイス製バイトだが、とても切れ味がいい。まるで鰹節を削るかのようにサクサク切れる。
 
ここで無事にロー付けを終えたAブロックと、破損してしまった実物をご覧頂けよう。この本体はアルミダイキャストで、非常に脆い。見ての通り中央のネジ穴で折れてしまった。一番力が掛かる場所だけに、もっと構造的に丈夫にしなければならないところだが、こういう「直ぐに壊れる」ものが随分と増えてしまった。しかも、物自体が安いこともあり、わざわざこうして直すこと
自体誰もやらなくなった。「壊れたら買い直せばいい」感覚が、どれほど日本を駄目にしているのか、考えるのもおぞましいことだ。おっと、話しを戻し・・・
 
ここで仮組を行う。Aブロックの円板は扉側に付けられ、Bブロックは抱き込むように円板に収まることになる。軸受けに当たる柱の位置を定め、微調整を行うが、回転することから極めて直角だけが要求される。右側にある軸受けブロックも、厳密には厚みが5.4mm必要なのだが、5mmで間に合わせることにする。
 

軸受けブロックをロー付けするための準備をすることにする。2mmのビスでしっかり固定し、銀ローが流れ込みやすいように糸鋸で軽くスリットを刻んでおく。これを行うとネジ穴の中にも銀ローが入り込み、一体化する。穴には既にネジが切ってあり、完成も間近。

ここでちょっと余談。^^;;
写真は、金属加工には欠かすことが

 
できない便利グッズである。左側にある白い方は、アルコールが主体で、汚れやネジ切りなどで詰まった削りかすを油とともに一気に吹き飛ばしてしまう。
右側にある カンは、ネジ切りなどのタップ作業やドリルするときに使う。カンにはこう書いてある「ステンレスが豆腐になりました」ホンマカイナ!
 
位置も決まり、いよいよロー付けをする。レンガに置き、高さを保つため壊れた破片で調整することにした。^^;;接合面を丁寧に脱油すると気持ちがいいほどに銀ローが染み渡る。火は接合面へ直接当てず、本体の大きい方へ当てる。これは基本であり、直接当て続けられた面は黒く焼け焦げてしまうため、これを防ぐことができる。また、小さいものは
 

一瞬にして熔けてしまうこともある。どうやら上手くいったようだ。

焼けてしまった真鍮の表面を塩酸に漬け洗い流す。普通一般家庭に塩酸は必要ない。^^;;しかし、銀細工やアタシのように真鍮を扱う者にとっては必要不可欠な薬品である。この金属を溶かす力は半端なものではなく、保存する際はしっかりと密閉で

きる容器でないとまずいことになる。揮発した塩酸が周囲の金属を尽く錆びさせてしまうからだ。暫く浸した後、ステンレス製のワイヤブラシでひたすら擦るとピカピカの面が現れる。このワイヤブラシが普通の鉄製や真鍮ブラシだったりすると、後にはまるで焼け焦げた髪の毛のようにボロボロに崩れることになる。
 
完成!
右側がオリジナル になる。生き残った部分だけを組み直し合体させた。シャフトは硬質のスチール製で、プラスチックのカシメようパッキンが用脇に入っている。約2日ほどで完成できた。厚い真鍮をカットする目的でバンドソーを購入していたのだが、肝心の刃の切れ味が悪く、今回は活躍することはなかった。
今度この新しく作った蝶番が壊れるときは、扉が壊れるときだろう。^^;;
 

じゅんこの修理

2005.10.18 
 
「じゅんこ」と名前が付いた購入したてのベース(フェルナンデス)は、連日の文化祭へ向けての練習に耐えきれなくなり、呆気なくジャックプレートが割れてしまった。持ち主の「かほり」は泣く々アタシのジャズベを使い、初日をクリアした。このプレートは厚いプラスチックを使ってはいるが…また同じように割れてしまうのが目に見えてしま
う。そこで、厚い(2mm)真鍮製のプレートを作ることにした。一度ガスバーナーで焼き、柔らかくしてからハンマーで叩き出す作業は、夜中にはできない。翌日、板からのカットも含めて約3時間程度の作業でした。それにしても…フェルナンデスさん、もっとしっかり作ってよ。このプレート、絶対に壊れることはないだろう。その前にプラグが折れるか。^^;;
 

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