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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

フライングブイの大改造

2006.11.04 
 
ピックガード加工
 

ナンチャッテ・フライングブイの大改造計画です。とにかくこのギター問題だらけ。その問題点を並べてみましょう。

1.音に輪郭がない。リアとフロントの区別が聞き取れない。
2.トーンのききがよく分からない。全体にこもった音がする。
3.ある領域(10Fあたりから)ボディー側で変な共振音が発生する。
4.ペグの状態が悪く、カタカタ状態。締まりが悪くチューニングも悪い。
5.テールピース・アンカーの取付穴にガタがある。

以上、ほとんど重傷状態でとても売り物とは思えないが、安いということもあり、これからどうやって問題を解決していくかが大変。しばらくミニチュアの製作を休み、集中します。

まずは最初からみていきましょうか。^^;;
「音に輪郭がない。リアとフロントの区別が聞き取れない。」これは、電気系統の交換でまずは対応してみる。もちろんピックアップも交換するが、予算の関係上リアのみで調整することにした。よくバランスを考えないと・・・

 
入手したものは(VGH-V)とかいったかな、ギターワークスから購入。できればディマジオあたりを考えたけど全体のバランスもあることだし、この辺が妥当ではないか!と結論した。さらに、ポット・コンデンサー・配線用のコードも合わせて購入。スイッチはそのまま流用することにした。写真右側に映っているのが、オリジナルのピックアップ。更に上にオリジナルのサーキットが見て取れる。ここで、そのサーキットをみて驚いた。なんと、シングル用のポットが付けられていたのだ。一般的にはハンバッキングPU
には500Ωが使用される。付いていたのは250Ω。このことが電気的にどう作用しているのか、詳しいことはわからないにしても(2)で掲げた「トーンのききがよく分からない。全体にこもった音がする。」にも当然影響していることは伺うことが出来る。そしてコンデンサー。どこのメーカーでなんなのかも分からない。めんどうなので当初の計画通り丸ごと交換してしまうことにする。
 
 
サーキットの配線もすべて新しいコードでやり直す。ジャックも新品で交換する。コンデンサーはオレンジドロップとよばれているスプラグ社製のハンバッキング用223(0.022μF)まだ経験不足もあり、これらのコンビネーションがどんな結果で出てくるかは分からない。とにかくやってみるしかないワネ。最後に、それぞれをアース線で結合しておく。ピックガードに張ってあるアルミ箔があるが、確かな方法をとることにする。サーキットはひとまずはこれで終了。さて、ボディーに移ることにするか。
 
正直いってVのボディーを触るのは、初めてです。^^;; ともあれ、そんなことも言っていられず、じっくりと拝見させていただいたところ、前述したようにテールピース・アンカーの取付穴にガタを発見。こんなこともあるんですね。そこで、パテを流し込みアンカーがしっかり固定できるように補修工事をすることにした。
 
 
  更に、「3.ある領域(10Fあたりから)ボディー側で変な共振音が発生する。」この問題がある。これと同じような症状を来しているレスポールが一台あり、何故こんな音がでてくるのかまったく理解できずにいた。しかし判明。ピックアップを取り付けるためにあるロングビスが、ボディー側キャビティーの壁と微妙に干渉しており、ある振動周波数になるとこれが唸り出す仕組みと結論した。ほかに理由が考えられるだろうか。そこで、キャビティーを広げることにする。一回り大きなテンプレートを透明なアクリル板から自作し、両面テープで固定している。
深さも5mmほど増し大きな穴になってしまった。なんどもピックガードを重ねながら、ボディとの干渉がないかチェックする。フロント側も干渉しそうなところを目安に、削り込んでいる。テールピース・アンカーの取付穴は、中の方で穴が広がってしまい、ヘッド側へ傾いた状態だった。本来はマホガニーで作られるはずのボディーだが、見ての通りアルダーでつくられていたこともあり、弦から出るテンションに耐えられず柔らかいアルダーが変形してしまったのだろう、と推測する。
 

さてここで、ピックアップの交換に伴い、ピックガードも改造することになる。新しく購入したPUにはエスカションが付いており、これにあわせて穴を広げているのが、一番最初の写真となる。アタシは機械をもっているので、コーナーのアールも含め綺麗に加工することができるが、手作業での加工は結構大変なものがある。

 
  ついでにテールピース・アンカーの穴を広げることにした。これは、アンカーを直接ボディーへつけられるようにしたかったためで、今まではピックガードの上に乗ったかたちになっていた。当然弦振動が直接ボディーへ伝わり、響きがいいはずだ。ピックアップを通さない生音での音のこもりや、リア側での抜ける音はこれで解消できるはずだ。ご存じのようにギターはそれぞれの要素が全体で絡み合い音として出てくることから、気づく限りの処置を施し完成までこぎ着ける。安いギターはこれらの処置に手抜きや怠りがある
ため、鳴ってくれないのだ。たんに、ピックアップだけを交換したから音がよくなるとは限らないことが、よく理解できる。さて、開いている穴へ更に大きな穴をセンターを一致させて開ける方法は・・・透明なテープを貼り、センターを出せばいい。簡単なことだが、なかなか気づくには時間もかかることかもしれない。ナンチャッテ^^;;
   
最後にペグを直して終了となるが、写真を写し忘れてしまった。ロートマッチクタイプのペグだったけど。きつく閉め混む隙間に余裕がなく、ビスで締め付けてもまったく効きが悪くカタカタと回ってしまう。あともう少し約1mm程度、軸の付け根部分を削り混んでやり、ネジが入っていけるようにする。6個全部を直すことになる。これは完全に設計ミスだ。日本のメーカーなら考えられないことだが、なんとしたもんでしょうか。
 

さて、これで改造計画もすべて終了。組み立て、テンション調整やオクターブ調整をし、ついでにネックフレットを研ぎ直し完成となった。最後に、お気に入りになってしまったナンチャッテフライングブイは、ご覧のようにシールが貼られ現在バリバリに弾かれている。名前もキーマカレーと命名された。^^;;原因不明だった共振音も解消され、自分でも驚いていることだが、重圧でクリアでパワフルな音で鳴り響き、まったく違うものとしてよみがえってしまった。前面はこちらをご覧あれ。

 
 

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