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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

75’US JAZZ BASS のメンテナンス  その1

2009.06.30 
 
 

まったく、9ヶ月間のあいだビッチリ本業に振り回された。折角減量したウエイト(約20Kも痩せたのに!)も、拘束されつづけ多少リバウンドしてしまった。もともと運動不足ぎみなところへ、高血圧と痛風が折り重なり、ストレスも溜まる一方。全然余裕もなく、一日平均10〜12時間MACへ張り付く毎日が続く。ギターに触らない日々も多かった。まして、1/3ギターも作っている場合ではないのである。絵を描くのが本業、食べていくためには仕方のないことなのだ。だから休日は絵は描かない。拒否反応が現れ、見たくもなくなる。そして、無性に工作がしたくなる。ギターに触りたくなる・・・・

そんな訳で、一年ぶりの更新となります。
HPの更新もサボリぎみだったこともありますが、作業的にはかなり進行しているところへ、ベーシストの友人から突然BASSのメンテナンスを頼まれました。そこで、1/3ギターの前にジャズベのメンテナンスをレポートします。一年前のお話です。^^;;

JAZZ BASS  

1975年といえば、私が東京へ上京した年である。高校時代は音楽漬けの毎日で、一台しかないギター(グレコのレスポール、今でも保持)を毎日弾いていた。絵に興味はあったが、たまに友人から頼まれる似顔絵を描く程度。当時は、天地真理や浅田美代子、西城秀樹に野口五郎や郷ひろみ、といった面々。鉛筆だけの素描だったが、もらった友人たちは喜んでいた。手前味噌で申し訳ないが、その高校は映画スイングガールズの基となった長野県蓼科高校。3年在籍したブラスバンド部だったが、まさかジャズをやるとは夢にも思っていなかった。卒業以来一度だけ訪ねたのは、もう20年以上も前のことだ。

前置きが長くなりました。話をJAZZ BAASに戻し ^^;;

オーナーは長年バンドを経営していたプロ中のプロ。千駄ヶ谷にあるお店へ、客として訪ねたのはもう15年以上も前になる。彼からこのベースで「娘を3人育てた。」と聞かされた。その名器を触らせてもらえるなんて、感激も一入。現在は長野県に移転しているが、ギター共々私の音楽の師匠でもある。以前、彼からはJAZZ BASS を一台譲り受けている。一年程前には、彼がプロデュースしたヤイリのガットギターを購入した。いずれ写真をアップしたい。

 
まずは、診断から
 
  35年間使い込んだ軌跡が、全体からにじみ出ている。ラッカー仕上げがそうさせているのだが、塗装の剥げ具合がたまらない味をだしているのがおわかりでしょう。もともとはメイプルの単板ネックが付いていたのだが、だいぶ前に弾き潰してしまい、現在の黒檀指板の新しいネックに交換したらしい。
今回の目的はアクティブ回路を外し、ノーマルのパッシブ回路に戻すこともにあったのだが、開けてみればスゴイ状態にあった。

最近は弾くこともなくなってしまい、数年間放置されていたことから、電気系統がほとんど死んでいる。カビが発生しているところもみられた。長年の汗や湿気が金属を腐食させている。ピックアップクッションは完全に劣化してしまい、用を達していない。全部、交換することにした。ただし、ブリッジだけはそのまま元に戻すことにする。音が変わってしまうからだ。

 
クリーニング
 
 

各パーツを外しながら、状態をチェックする。ネジ穴がバカになっている箇所が多く見受けられる。ボディーに割れがないか見極めながら、ハンドグラインダーを使い、ピックアップポケットのクリーニングを開始する。スポンジクッションのカスを完全に取り除き、導電塗装もやり直さなければならない。

 
  ブリッジを外す。汗と湿気が中まで入り込み、プレートのメッキまで破がしている。金属パーツの洗浄が必要だ。アースは取れているが、ここも導電塗装をしなければならない。表面のラッカー塗装が、部分的だがダメージが強く、取り扱いに神経を使う。ひどく劣化している場所は、シーラーを隙間から染み込ませ、定着させることができる。
 
ネジ穴
 
 

今回、使用ビスを全てステンレス製のものに交換することに決まった。ネジ穴がつぶれていて、ネジがきかない所が多数あることもあり、一端穴を塞いでしまうことにしたのだが、、、

 

穴のクリーニング中、とんでもない物を発見することになる。破断してしまったネジが、中からでてきたではないか。聞けば、何カ所かネジが切れてしまい、そのまま上からネジを閉め直したことを聞いた。これを掘り出すにはハンドグラインダーで周りから穴を大きくしなければならない。たいした手間ではない。どうりで真っ直ぐにネジが入っていないはずだ。
 
  穴を埋めるには、竹を使う。明らかに表にでてしまう箇所は、同じ素材を探すこともあるが、物理的にネジを銜える効果としては、竹が一番いいと考えている。竹箸で旋削加工したものを自作する。
 
 

タイトボンドを多めに付け、打ち込む。この穴は更に大きく、二本を抱き合わせことにした。

 
エンドピンは完全に死んでいる。もっとも、木目に沿ったネジはバカになりやすいのだ。あらかじめ旋削加工した竹箸で埋め直す。乾くまでしばらく放置しなければならない。その間に金属パーツを洗浄することにしよう
 
金属パーツの洗浄
 
 

洗浄は灯油を使う。部分的にはアセトン系のシンナーに浸すことになる場合もある。タグは同じ場所に戻すため。ネジをそのまま使用する場合は、一本ずつタグを付けることになる。たいしたことに見えないが、機械を組み上げる最低限の鉄則である。

 
  ブリッジの裏側を見る。メッキが年月の経過に伴い、腐食が進んでいる。ネジはステンレスに交換してしまうが、ブリッジはサビを落とし、基に戻す。
 
  ブラス製のナットが付いていた。聞けば「しっくりこなかった響きが、この真鍮製ナットに交換してから、よくなった。」わかる気がする。金属音的な響きになると思われるが、楽器は何事も相性なのである。プレイヤーがどんな音が欲しいのか、輪郭が見えてくればしめたもの。プロの方々に多く聞かれることだが、自分で創意工夫を凝らし、音を創っていく。素人は知識も無ければ、どうしてよいのか判らないのが現状でしょう。オリジナル部品に拘るのは、ただの自己満足だけで、でてくる音がオリジナルな
のだ。この辺はイラストにも共通したところが言える。原画はあくまで原画であり、印刷が想定され、はじめて色やトーン共に完成品と考えられる。高く売るのが目的なら、オリジナルパーツが必要になるが。楽器は、単に音楽を演奏する道具に過ぎないことを知らされる。
 
ボディーの仕上げ
 
 

電動塗装を行う。汚れを落とし、塗装の準備をするが、オリジナルの塗装がパキパキ状態で、マスキングテープに耐えられないところも見られる。塗装はエアーブラシで行うため、マスキングは欠かせない。そこで薄めに溶いたシーラーを筆に含み、クラックしている箇所に少しずつ流し込んでいく。塗料によっては相性があり、硬化したあとペリペリと薄く剥がれてしまう場合がある。まるで日焼けした皮膚が剥がれるように。^^;; これは、溶かされる溶液の違い(大きくは油性とシンナー系の違いなど)にある。シーラーはもともと下地ようであることもあり、ウレタンや油性などを除けば、大概のラッカー系塗料とよく馴染むことから、いい効果が期待できる。

今回は長くなるので、ここまでとします。^^;; 次回その2をご期待ください。

 
最後に1/3Gの進行状況は
 
現在はツアーケースを製作しています。ギターは、ほぼ完成し、最後に残された弦の問題を解決したく、苦戦中です。^^;;ケースはオリジナルを基に、フレームや金具類共に1から設計製作。使用されるビスは特注品を使用しています。
 
 
 
 

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