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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

75’US JAZZ BASS のメンテナンス  その2

2009.08.17 
 
 

JAZZ BASSのメンテナンス、後編を記します。

導電塗装も無事に終了したところで、いよいよパーツの埋め込み作業をはじめましょう。パッシブ回路(通常配線)の詳細は特に説明はしません。使ってある部品群も珍しいものはなく、拘るところといえば、USA製品をチョイスすることでしょうか。これは、オーナーとの話し合いから決めることですが、絶対にこれでないと!という理由はありません。まして、電機部品などは日本製の方が断然に優れているものも多い。ただ、エレキ・ギター共に、アメリカで発明されたものであることを忘れる無かれ。使われるパーツは純正であるアメリカ製が望ましいことは、当然の話。インチとミリの違いが全てのパーツに絡んでくることから、しっかりとパーツを把握した上で、作業を進めなければならない。この、(インチとミリの違い)が総合的なところで現れる。特に、長年演奏を続けてきているプロプレイヤーは、年代を追いながら楽器に触れている。即ち、物理的にもインチの違いを敏感に感じ取るところでもあり、多くの機種を現役で触れてこられたことを考えると、羨ましい限りである。

 

矢印は、自作したアースターミナル。白金プレートから削りだした。ここへアース線を集中させ、安定した確実なアースを取ることで、ノイズの発生を防ぐ。電子回路の配線は、できるだけ無駄を省くことにあり、美しく、配置されなければならない。いくら贅沢なパーツを使って回路を組んでも、配線の仕方や半田付けの優劣によって電気特性は大きく左右されることを知らなければならない。微弱な電流を扱うことから、本来であればこんなことろへ金蒸着部品を使ったりするのが、本当の贅沢な仕上げになるところでもあり、電気的な発想がなされなければ、と考える。
(写真がボケですみません^^;;)

 
ピックアップクッション
 
  劣化してしまったピックアップクッションは、対衝撃吸収スポンジで補うことにする。ピックアップも新しいものに交換する。もちろんフェンダーのオリジナルなのだが、気をつけたいのは取り扱いにあり、カバーケースから本体がスルリと抜け落ちやすく、うっかり落とすと、直接コイルを痛めてしまい、断線の要因になってしまう。慎重な心配りが必要だ。
 
ブリッジ
 
 

洗浄を終え、組み立てたブリッジ。汚れを落としただけだが、ピカピカに蘇った。オーナーがサドルの高さを固定する目的で、マニキュアを流し込んでいた。工業的にはロックタイトというビスを固定する金属専用の接着剤がある。密着した金属同士でないと硬化しない特性がある。解除するときは熱を与える。マニキュアも良い方法だと思うが、いざ再調整しようと思ったときには厄介なものだ。完全に落とすには手間も掛かる。

       
 
  奥に見えるのがロックタイト。使用箇所や用途に応じて色々と種類がある。オーディオ機器や機械製品をよく見ると使われているところが発見できる。手前にある箱は液状ガスケット。チューブ詰めで、広い範囲をカバーする。乾燥すると薄い皮膜状になり、剥離性もよい。これは、これから発表するギターケースで使用する目的で入手した。精密機器や部品などをエポキシ系接着剤で固めてしまい、固着させる方法はよくあること。電子部品などプリント基板ごと固めてしまい、密閉させることで性能も安定する。要は集積回路を自作する目的もある。
 
いきなり完成!
 
 
 
 
使用弦はダダリオの指定弦を張る。弦高の調整などは、本人がやるとのことで、取りあえず完成させ、発送した。まだまだ知識共に経験不足なところもあるが、いい機会を与えて貰ったことに感謝します。いずれミニチュアでもこのベースを再現するつもりでいる。現在、自分のところへは修理しなければならないギターが3台ある。ヘッド折れのアコギが2台。残りの1台は同じ75年のUSフェンダー・ストラトキャスターがある。ラージヘッドの三点止めというヤツだが、コイツが厄介な作業になりそうだ。ロッドを無闇に閉めすぎたため、スカンプラインが剥がれてしまい、ネックから浮き上がってしまっている。ネックを完全にバラさなければならず、今は思案中といったところ。これも、その内作業と共に掲載していきます。
 
ブラス製ナット BOOWY布袋モデル
 
 

フェルナンデス製・布袋モデルのナットを、真鍮で作り直した。ニュー弦を張っても音がダヨ〜ン状態で、締まりがないことに気づき、よく調べてみるとオリジナルのナットはプラスチックの最中だった。そこで、真鍮で置き換えてみることにした。使用弦(アーニーボール・レッドラベル)のゲージに合わせ削り込む。セット面は機械で加工するため、確実な直角を維持できる。削りあげたナットは、全体を塩酸に浸し、腐食したマット仕上げにしてみた。そのた

 

め加工時に付くヤスリの後などは綺麗に消え去り、独特の地肌を作ることが出来た。


出来上がった音は、ビ〜ンとよく響く低音が出せ、はっきりとした音の輪郭がでてきた。これにはオーナーも大喜びで、作った自分自身おどろいた!^^;;

 
 
次回からは1/3ツアーケース作りへ
 

次回からは、現在進行中の1/3ツアーケースを最初から特集します。

現状は既に写真でも分かるとおり、各金具の仕上げ段階であります。オリジナルはプレス加工された金具が、結構イージーな組み上げで構成されており、見た目それに近づけるためには、プレス加工をも再現しなければなりません。ただ、大型の機械が有るわけでもなく限界もあり、どうすれば表現できるのか、金属加工を試される次元でもあります。初めて作るものは多かれ少なかれ必ず失敗が付きまとい、中々先へ進むことが難しいものです。どのように解決していったのか、細かくレポートします。

 
       
 

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