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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

1/3ツアーケース  その1

2009.08.17 
 
図面
 

実物メンテナンスも落ち着き、ミニチュアへやっと戻ることができそうです。

そこで、いろんな方面の方々から「ケースは無いのか」との問い合わせにお答えし、今回からケースの製作を報告いたします。

「ツアーケース」と呼ばれるこのユニットは、頑丈なアルミフレームと特殊な金具によって構成されており、大事な楽器が長距離輸送にも耐えられるように設計されたものです。「ツアーケース」とはよくも名付けたもので、見た目にもプロっぽく、如何にも高額なギターが中に入っていそうです。^^;; ミニチュアギターのケースを作るにあたり、ハードケース・ソフトケースなど様々な方面から検討した結果、直線で構成されていることや、「埋め込み金具」と呼ばれる機械的にも非常に興味深いロック金具や、スプリング機構によって本体に密着するハンドルなど、「ツアーケース」工作意欲を誘います。

 
フレームの製作
 
 

まずは、フレームの切り出しからスタートです。
本来であれば、フレームには外板を挟み込む溝があり、少ないリベットでもしっかり組み上げられるように設計されていますが、市販されているL型フレーム(9mm)を再加工し間に合わせることにします。開け口部分のレールフレームだけは合わせを見込み、機械加工で仕上げなければなりません。

フレーム   角を45°にカットし番号をふり、間違いがないように組み合わせの準備をします。瞬間接着剤で仮組をしながら外板と組んでいきます。外板は3mmの塩ビ板を使用。コーナー金具で接合部は隠れてしまいますが、正確に組まないと歪みが生じてしまい、開口部もきっちりと閉まらなくなります。
 
コーナー金具
 
  コーナー金具は二種類あり、数も沢山作らなければなりません。CADで展開図を描き、0.5mmの真鍮板から加工します。現物はプレス加工されたものですが、1つづつ手作りです。折り曲げる部分はVカッターであらかじめ溝を掘っておき、ロー付けで接合し、メッキ仕上げします。
 
 
 
蝶番を作る
 
 

実物で使われている金具類は殆どがプレス加工されたものが多く、特にこの蝶番だけは外見上にもプレス加工されたものが臨まれます。単純な形のなかに複雑な仕組みが隠されています。どこまで再現するかは、設備状態によりますが、幸い1tまでのプレス機なら、持ってます。^^;;どうやればプレス金具が再現できるのか、まずはイメージしながらスケッチを描きます。

 
 
鉄のブロックからプレス用金型を作ります。素材の厚みから、仕上がり寸法を逆算します。とにかくプレスは一発勝負。交わるパイプ部分は同径のパイプをロウ付けし、機械で正確にカットしなければなりません。ガタがあっては台無しです。シャフトは2mmのピアノ線を打ち込みます。全体の仮組が終わったら、仕上げ研磨をしメッキします。
 
埋め込み金具(ロック金具)
 
    このケース作りの中で大きな山はこの埋め込み金具です。ケース仮組のためにも、まずは台座だけでも先行しなければなりません。これも実物はプレスされたものですが、ここまでプレスできる設備はありません。実物通りに採寸してしまうと、完全にスケールアウトしてしまいます。強度を十分に考慮し、厚みを0.8mmに決定します。箱物は展開図から製作できますが、細かなアール仕上げや正確な対物でなければなりません。そこで、5mmの真鍮板から一対で削り出すことにします。この作業だけで丸2日。汗だくです。^^;;
 
    参考までに実物の写真を掲載します。この中の仕組みがどうなっているのか!この時点ではまだ完全に把握したわけではありませんでした。バタフライ型のレバーを立ち上げ、ぐるりと回していくとツメ(この写真では下向きに)がにょきにょきと出てきてロックを解除します。これらはスプリングで全体が保持されてます。シリンダーには回転カムが入っていますが、これが、どんな関係なのか興味津々。
 
    台座を取りあえず完成させ、ケース全体の仮組を終えました。本来パーツはアルミ製のリベットで接合されていますが、ミニチュアでは特注したビズで止めています。その数100本以上! 塩ビ板は保護用にマスキングテープを貼り付けてあります。ここまで既に3ヶ月が経過。持ち合わせの機械にある作業テーブルが、フレームの長さをカバーしきれず、相当の苦労もありました。今回は一台限りの製作であるため、見斬り合わせでのスタートですが、各所問題も多く、これからの課題も見えてきました。
 
 

仮組がやっと完成し、内装をどうするか考えつつ、次回は埋め込み金具です。

 
 

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