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工房便りダヨ〜ン^^;;
 

1/3Guitar 弦を張る そして完成へ!

2009.12.12 
 
 

ツアーケースも完成。ギター本体も完成する中、弦を張り込む準備を進めてきました。実物では弦を張ることは、初心者でも無い限り、簡単な日常的行為です。しかし、1/3サイズとなると、そうは行きません。5年前に行った時は、一本を張り込むのに2時間も時間を掛けたときもありました。弦自体も1/3スケールで表現したい! しかし、巻線の断念と今後の課題、そしてどうやれば簡単に弦を張り込むことができるのか、リポートします。

 
エンドボール
 
 

ギター弦はメーカー別に限らず(ガットギターを除き)エンドボールと呼ばれる小型のプーリーのような物で支えられています。これは、ギターに取り付ける際、ブリッジブロックなどでロックされ、程よいテンションを得るためには欠かすことができません。このエンドボールは、実際にメーカーサイドでも巻線を生産する際、機械に取り付け回転させるアタッチメントの役割も果たしています。つまりは、このエンドボールがなければ、単線はともかく、巻線を作ることができません。そこで、まずはエンドボールの製作から始めることにしましょう。 (ノートをみる

 

エンドボールは真鍮製ですが、1/3サイズともなると直径が1.35mmととても小さいものになってしまいます。肉眼で確認するのもやっとです。ピンセットで弾いてしまえば、何処かへ飛んで行ってしまい、もう見つけることは不可能です。実際に3個ほど飛ばしてしまいました。^^;;

3mmの真鍮線からデジタルノギス片手に旋削します。まずは穴あけから。0.6mmでセンター孔を明けます。
(エンドボールの図面をみる)

 
外径を1.35mmに仕上げ、金鋸の刃から作った突っ切りバイトで溝を入れます。溝幅は0.4mm。ダイヤルだけでの送り作業です。
 
 
エンドボールが出来上がりました。ピンのシャフトは0.6mmです。
 
弦をつくる
 
 
写真は、エンドボールにピアノ線を巻き付ける装置です。6mm厚のスチール板は、s45c。長さはちょうど必要な弦の長さを確保します。この装置をバイスに挟み作業をします。ちなみに、メーカーではピアノ線とは呼ばず、ストリングゲージといい、区別しています。
 
 
真鍮とスチールを使い、組み上げています。先端を二股に分けた回転軸へピンで固定し、ハンドルを回しながらピアノ線を巻き付けていきます。
 
 

セットも完了、ペンチでテンションを掛けながら左手でハンドルを回します。巻き付けには少々のコツがありますが、綺麗に巻くことが出来るようになりました。

 

弦が完成しました。実物と大きさをくらべます。ゲージは0.17mm、太めの3Gあたりでしょうか。

ところで、巻線は六角形に加工された線に極細のワイヤーを巻き付けて作られます。この六角形に加工された線は、機械的に全面ささくれ立つような加工が施され、巻き付けるワイヤーがよく食いつくようになっています。この巻線を1/3スケールで再現するには、それ相当の大掛かりな装置も必要になってきます。時間も掛か

ることでしょう。装置を設計しなければなりませんし、担う材料も入手できる保証はありません。様子を伺いながら、今後の課題とするしか、今のところは手がでません。第一、メーカーに問い合わせても、物理的に不可能だと言われてしまい、四面楚歌状態なのです。なんとか、良い方法はないものか!?
 
今回巻線の代わりにチョイスしたのは白金線です。太さは上から0.5・0.4・0.3mmです。細かな数値は指定できませんが、張り付けたイメージはとても良い感じです。難点は、軟らかく切れやすく傷つきやすいことでしょうか。0.3mmは特に切れやすく、ペグで締め上げていくとサドルの位置で切れてしまいます。事実、0.3=4Dは3本無駄にしてしまいました。エンドボールに巻き付ける段階で切れてしまったものもありました。
 
弦を張る
 
 
弦を張るために作られた固定台です。1/3スケールと言えど、ピアノ線の硬度に変わりはなく、2mmのペグポストへ巻き付ける作業は想像以上に大変なことでした。廃材を使った木製の板へ、スチールから加工したバーを装着しました。高さと位置を確定し、硬質スポンジのクッションへマジックテープで固定します。
 
 
裏側はこんな感じです。ブリッジセンターの位置で、ロックを外せばこのように回転させることもできます。先端はハンドルを付け、あらかじめ所定の位置で巻癖を付けることも出来るようにしました。これは、ペグへの負担を軽減させる策です。
 
 
ネック側へ伸びるバーは、ペグの位置に合わせバネを仕込んだボールロックで簡単に位置を合わせることができます。カチカチと心地よい音がします。
 
本体を取り付けてみました。このままバイスへ固定し、弦を貼り付けていきます。いままで暴れていたピアノ線も扱いやすくなり、非常に気持ちよく作業ができるようになりました。時間も数分で済みます。
 
 
専用のストリングワインダーも作りました。ABS樹脂製です。シャフトは真鍮から作った特殊ネジで固定しました。回転径を大きく取ったのですが、実物とくらべても、やはり小さいですね。
 
1/3Guitarの完成です。
 
 
 
 
 
今回、二台同時に完成させました。木目調の初代#01は新しく作ったパーツで組み上げ直してあります。ボディーの塗装も全てやり直し、美しい光沢も蘇りました。そして上のセット、ケースも含め売却先が決まり、今は手元にはありません。苦節13年になりますが、購入していただいたお客様に、心からお礼を申し上げます。また、次の目標へ向け、新たに計画を進行させていただきますので、今後ともご覧頂いております観覧者の方々共々、よろしく応援の程お願い申し上げます。
 

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